絵本「へいわってすてきだね」沖縄の6歳の男の子の書く詩が心にしみる!
ああ、ぼくは、へいわなときにうまれてよかったよ。
このへいわが、ずっとつづいてほしい。
みんなのえがおがずっと、つづいてほしい。
この記事では、絵本「へいわってすてきだね」の感想を書いています。
「へいわってすてきだね」は、沖縄与那国島の小学1年生が沖縄前戦没者追悼式で朗読した詩をもとに、絵本作家の長谷川義史さんが描き上げた絵本です。
どんな内容?
いかなる理由があるにせよ、人々を殺し、傷つけることはまちがいです。
6歳の少年の詩を長谷川義史が魂で描いた、沖縄発・平和へのメッセージ。
平和とは?6歳の男の子の純粋な感情が描かれています。
受賞歴がすごい!
この絵本は沖縄で生まれ育った小学1年生が作った詩が元となっているため、詩に関しては絵本作家などのことばのプロがつくったものではないです。
語彙も少ない7歳の少年が書いているのに、この絵本は“第7回MOE絵本屋さん大賞 第1位”、“第5 回リブロ絵本大賞 第2位”など多くの読者から評価されています。
↓受賞歴まとめ↓
第7回 MOE絵本屋さん大賞 第1位
第5回 リブロ絵本大賞 第2位
第35回 沖縄タイムス出版文化賞 児童部門賞
第6回 ようちえん絵本大賞 こどもがまんなかPROJECT賞
第25回 けんぶち絵本の里大賞 びばからす賞
なぜこんなに評価されているのか
理由を私なりに考えてみました。
理由①“沖縄”に住む少年が書いた詩である!
へいわってなにかな。
ぼくは、かんがえたよ。
(中略)
ちょうめいそうがたくさんはえ、
よなぐにうまが、ヒヒーンとなく。
この絵本の詩には、“ちょうめいそう”“よなぐにうま”など、沖縄を連想させるワードがいくつか含まれています。
沖縄では、、、
太平洋戦争で沖縄では地上戦があり、沖縄はアメリカ軍の占領下に置かれたため、普天間などに軍の使用する基地が建設されました。沖縄返還から40年以上が経過した今も、基地が沖縄の面積の多くを占めています。
したがって、、、
軍人の沖縄県民の女性への暴行、ヘリコプターや戦闘機などによる騒音の問題、航空機の墜落事故などの基地による問題は多数あり、戦争こそ終わったものの、戦争によって生まれた危険は未だ残ったままの部分もあると思います。
しかし!
沖縄以外に住む人がこのような問題を感じる機会は少ないんじゃないでしょうか。
この絵本を親がこどもに読んであげたいと思う理由として、沖縄のことを知るきっかけにしてほしいという思いがあると思います。
理由②重いテーマではあるが、子供でも親しみやすい『小1の詩』!
平和や戦争のことを話すとき、どうしても重く、堅い、説教じみた雰囲気になりがちですよね。
しかし、この詩は小学1年生が書いたものです!
小学生が感じたことを小学生が使える範囲の語彙を使うことで、
同じ世代の子供たちに沖縄のこと、戦争のこと、平和のことを堅苦しくなることなく伝えられていると思います。
この絵本の本文は,“~だね”,“~したよ”のように友達に語りかけるような口調であり、テーマが難しいものでも普通体で語り口調を用いることで、読み手側のこどもが親近感をもちやすくなっていると思います。
文章が簡単で親しみやすいことがこの絵本のような内容でも敬遠されない要因だと感じました。
理由③日本の平和に関する教育(戦争教育)の変化にある!
この絵本が出版された2014年は太平洋戦争が終戦して約70年が経過しています。
ということは、戦争を肌で感じていた人が身の回りに少なくなってきているということです。
以前であれば、自分の祖父母など当時を知る人から戦争の恐ろしさや当時の大変さを聞く機会もあったでしょう。
しかし!
現在はそのような機会が減っているんじゃないかな、と思います。
親や教師など教育に携わる人は、戦争や平和を考えるきっかけを作りたいために、この絵本のような内容のものを求めているのではないでしょうか。